【御専用】セーブル 1763年 青の二重線と金彩花籠のカップ＆ソーサー

●製作年:1763年●素材:ソフトペースト（軟質磁器）●サイズ【カップ】口径:7.5cm高さ:6.5cm【ソーサー】直径:12.5cm高さ:3.5cm装飾: Charles-Nicolas BUTEUX（1763年～1801年まで絵付師として在籍）セーブルの前身であるヴァンセンヌ時代には、それまでのヨーロッパには無かった斬新な形状の作品を発表し、顧客を定着させることに成功しました。軟質では能であると思われていた特殊な形状の作品も次々製作し、各国の王侯の心を掴んだとされています。今回出品したこの珍しいタイプは、まさにその時代から派生したフォームの一つです。二重線はセーブルのド定番ですが、ラインを持ち手に沿らせることや、エナメル部分は浮き上がっていて、より立体感を演出しています。ソーサーの見込み部分や、なんと裏側にも盛り上げて線を施し、金彩でしっかりと装飾されています。持ち手部分も空間をとることで持ちやすく、実用性も重視していると考えられます。花絵においては、初期はマイセンを模倣していたセーブルですが、この時点で既にフランス様式に昇華させており複雑な色彩と濃淡、ローズ花弁の襞のうねり方、葉の色分けや枯れかかっている部分の表現、など高度な技術を惜しみなく発揮していて7年戦争で疲弊しきっているマイセンを確実に追い抜かし始めた時期ともいえるでしょう。同じ時間軸の他作品と比較しても面白いと思います。コンディションとして、使用に伴う小傷やソーサーの外側の金彩部分に1㎜ほどの欠損（写真参照）があります。ですが取り立てて価値を下げるものではないと考えています。金彩や彩色はしっかりと残っており、現存するセーブルの中でも貴重な部類に入るでしょう。是非コレクションに、この機会に是非ご検討ください。